top of page
検索

『蛇とぬけがら』#002

はじめまして、田邊晋司と申します。よろしくお願い致します。本日はお忙しい中、お時間を割いて頂きありがとうございます。 というような当たり障りのない定型文を棒読みにならないように気をつけながら口にしつつ何度かお辞儀をし、相手に勧められるのを待ってから、晋司は目の前の椅子に腰を...

『蛇とぬけがら』 #001

ガラス戸と網戸を開けてベランダに出る。置きっぱなしのサンダルを履き、後ろ手でガラス戸を閉めると、死にかけの子猫の鳴き声のような音がする。死にかけの子猫の鳴き声を聞いた記憶はないけど。まぁそのへんはなんとなく、イメージで。昨日取りこみ忘れた洗濯物がそよそよと揺れている。さすが...

bottom of page